残価設定ローンとは?メリット・デメリットや利用時の注意点を解説
写真はイメージです
車を購入するにあたって「残価設定ローン」の利用を検討している人は多いのではないでしょうか。残価設定ローンにはさまざまなメリットがある一方で、申し込むにあたって注意しておきたいポイントがいくつかあります。
今回は、残価設定ローンの仕組みや支払い方法、利用するメリット・デメリットについてわかりやすくご紹介します。残価設定ローンに向いている人の特徴もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
<この記事のポイント>
- 残価設定ローンとは、車両本体価格の一部を最終回の支払い分として据え置き、頭金と最終回分を除いた総額を分割して支払う方法のこと
- 最終回の支払い方法は「新しい車に乗り換える」「車を返却する」「車を買い上げる」の3パターンから選べる
- 毎月の返済額を抑えられるなどのメリットがある一方で、車の使用に制限があるなどのデメリットもある
目次
残価設定ローンとは、車両本体価格の一部を除いた金額を支払うローンのこと
残価設定ローンとは、あらかじめ車両本体価格の一部(契約期間後の車の価値分)を最終回の支払い分として据え置き、最終回分を除いた総額を分割して支払う自動車クレジット(以下、自動車ローンと記載)のことです。残価設定型クレジットとも呼ばれます。
下図のように、最終回の支払い分(1)を据え置き、最終回を除く総額(2)を分割して支払います。
■残価設定ローンのイメージ
通常の分割払いは、自動車ローンの契約年数に応じて車両本体価格を分割し、金利(分割払手数料)を含めた額を毎月返済する方法です。残価設定ローンは通常の分割払いに比べ、据え置いた分だけ毎月の返済額を軽減できる点がメリットとなり、注目を集めています。
残価設定ローンの最終回の支払い方法
残価設定ローンでは、最終回分の支払い方法を状況に応じて柔軟に選択できます。具体的な支払い方法は、下記のとおりです。
同じメーカーで新しい車に乗り換える
残価設定ローンの最終回の支払い時に、同じメーカーで新しい車に乗り換えることで、最終回の支払いが不要になります。ただし、車の状態が規定に合っていない場合は、別途精算金が発生する可能性があります。
車を返却する
残価設定ローンの最終回支払い時に、車を返却することも選択肢の1つです。契約した販売店に車を返却すれば、残価を支払う必要はありません。ただし、乗り換え時と同様に、車の状態が規定に合っていない場合は、別途精算金が発生する可能性があります。
車を買い上げる
残価設定ローンの最終回の支払い時には、最終回の支払い分を一括清算または再度分割支払い(再クレジット払い)し、車を買い上げることも可能です。この場合、乗っていた車はそのまま自身が所有することになります。
なお、再度分割支払い(再クレジット払い)を選択した場合は、再度審査が必要な場合があるため、販売店に確認しましょう。
なお、再度分割支払い(再クレジット払い)を選択した場合は、再度審査が必要な場合があるため、販売店に確認しましょう。
残価設定ローンのメリット
残価設定ローンの利用には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、残価設定ローンを利用するメリットをご紹介します。
毎月の返済額を抑えられる
残価設定ローンを利用するメリットの1つは、毎月の返済額を抑えられることです。残価として据え置く分を除いた金額を分割して支払うため、通常の分割払いでは手の届かない車に乗れる可能性もあるでしょう。
車の乗り換えがしやすい
車の乗り換えがしやすい点も残価設定ローンを利用するメリットです。残価設定ローンの契約期間が終了した際、同じメーカーで新車に乗り換えれば、据え置いた分の支払いが発生しません。数年ごとに新車に乗り換えたい人にとって、乗り換えがしやすいことはメリットといえます。
あらかじめ設定した残価は保証される
最終回に据え置いた分の残価は、中古車市場の動向などに影響されず、保証されます。
例えば、車の返却時に車の価値が大きく下がっていたとしても、あらかじめ設定した残価には影響しません。中古車市場の動向は予測が難しいため、設定した残価が保証され、返却時に影響を与えない点は、残価設定ローンのメリットといえます。
例えば、車の返却時に車の価値が大きく下がっていたとしても、あらかじめ設定した残価には影響しません。中古車市場の動向は予測が難しいため、設定した残価が保証され、返却時に影響を与えない点は、残価設定ローンのメリットといえます。
- 車両状態が事前に定めた規定外である場合を除きます。
残価設定ローンのデメリット
残価設定ローンには多くのメリットがある一方で、デメリットとなる面もあります。メリットとあわせて、デメリットについても確認していきましょう。
車の使用に制限がある
残価設定ローンを利用した場合、車の所有権は販売店となるため、車の使用が制限されます。一般的には、走行距離制限が設けられていたり、車のカスタマイズが制限されていたりすることがあります。
ただし、販売店よって異なるものの、エアロやアルミホイール、マフラーなどの一般的なカスタマイズであれば、問題ないケースが多いでしょう。
ただし、販売店よって異なるものの、エアロやアルミホイール、マフラーなどの一般的なカスタマイズであれば、問題ないケースが多いでしょう。
なお、カスタムの制限は、ほかの支払い方法でも制約される場合があり、残価設定ローンに限ったことではありません。
車の状態によっては追加費用が発生する可能性がある
車の状態によっては、残価設定ローンの最終回の支払い時に追加費用が発生する可能性があります。例えば、車に傷をつけたり、定められた走行距離制限を超えたりした場合などが該当します。
また、残価設定ローンは契約終了時に車の乗り換えや返却などによって残価を精算することを前提にしているため、全損事故などにより廃車扱いになると残価を一括返済しなければならないこともあるでしょう。
残価設定ローンと銀行のマイカーローンの違い
自動車ローンには、「ディーラーローン」と「銀行のマイカーローン」があります。残価設定ローンは、ディーラーと契約するため、ディーラーローンに該当します。
ここでは、残価設定ローンと銀行のマイカーローンとの違いを見ていきましょう。
ここでは、残価設定ローンと銀行のマイカーローンとの違いを見ていきましょう。
銀行のマイカーローンとは、銀行や信用金庫等が提供している自動車ローンのことです。
残価設定ローンは車の購入費をローン契約することに対し、銀行のマイカーローンは車の購入費に加え、車検や修理代、免許取得費用など、幅広い資金用途に利用できる場合があります。
残価設定ローンは車の購入費をローン契約することに対し、銀行のマイカーローンは車の購入費に加え、車検や修理代、免許取得費用など、幅広い資金用途に利用できる場合があります。
また、残価設定ローンと銀行のマイカーローンでは、契約するタイミングも異なります。
残価設定ローンを契約するタイミングは、車の購入時です。銀行のマイカーローンの場合、購入する車を決めた後に金融機関へマイカーローンの申込み手続きを行い、契約をします。
残価設定ローンを契約するタイミングは、車の購入時です。銀行のマイカーローンの場合、購入する車を決めた後に金融機関へマイカーローンの申込み手続きを行い、契約をします。
なお、残価設定ローンは残価が保証される一方、銀行のマイカーローンには車の価値が保証される仕組みはありません。
残価設定ローンに向いている人の特徴
残価設定ローンは、どのような人に適した支払い方法といえるのでしょうか。向いている人の主な特徴として、下記の4点が挙げられます。
毎月の返済額を抑えて車に乗りたい
毎月の返済額をできるだけ抑えつつ車に乗りたい人には、残価設定ローンの利用が適しています。残価が据え置きになる分、毎月の返済額を抑えられます。
例えば、車両本体価格約200万円の車を5年間60回払いで支払うとき、残価設定ローンの毎月の支払いは9,900円、通常の分割払いは17,500円です。詳細は下記のとおりになります。
■残価設定ローンと通常の分割払いを比較したときの支払いイメージ
残価設定ローン | 通常の分割払い | |
---|---|---|
車両本体価格 (現金販売価格) |
2,008,000円 | 2,008,000円 |
頭金 | 100,000円 | 100,000円 |
割賦元金 | 1,908,000円 | 1,908,000円 |
最終回お支払い時の残価率 | 26% | |
月々のお支払い | 初回:14,442円 | 初回:18,769円 |
月々:9,900円(48回) | 月々:17,500円(49回) | |
ボーナス:150,000円 (6月・12月/10回) |
ボーナス:150,000円 (6月・12月/10回) |
|
最終回のお支払い | 522,080円 | |
支払総額 | 2,231,522円 | 2,243,769円 |
実質年率 | 5.0% | 6.0% |
- 掲載の価格には、保険料、税金(消費税を除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。割賦元金に税金・諸費用は含まれておりません。
- 残価設定ローンの場合、最終回のお支払いは不要ですが、車両状態が事前に定めた規定外である場合には、別途精算金を支払う場合があります。
- 最終回で買い上げ(一括精算・再度分割支払い(再クレジット払い))を選択した場合、最終回のお支払い金額(残価)を含めた支払い合計金額は、通常の分割払いのほうが軽くなる場合があります。買い上げの際に再度自動車ローンを契約する方法もありますが、別途条件があります。詳しくは、販売店へ確認が必要です。
残価設定ローンであれば、毎月の返済額を抑えられるため、家計の負担を軽減して車の所有が可能です。
車に乗る頻度が少ない人
週末だけ車を使うなど、車の利用頻度が低い場合は、残価設定ローンの利用に向いている人といえます。
残価設定ローンには走行距離の制限が設けられているケースが多いものの、車に乗る頻度が低いのであれば走行距離制限の範囲内に収まる可能性が高いためです。走行距離の制限を超過し、追加料金が発生するリスクも低いでしょう。
残価設定ローンには走行距離の制限が設けられているケースが多いものの、車に乗る頻度が低いのであれば走行距離制限の範囲内に収まる可能性が高いためです。走行距離の制限を超過し、追加料金が発生するリスクも低いでしょう。
数年ごとに新車に乗り換えたい人
数年ごとに新車に乗り換えたいと考えている人も、残価設定ローンがおすすめです。残価設定ローンの契約終了時に再び残価設定ローンを組むことにより、最終回の支払いをせずに新車に乗り換えられます。
また、現金で新車を購入した場合に比べると、買い替え時の出費を抑えることが可能です。例えば、毎回現金で新車を購入し、3年ごとに乗り換えたとき、乗り換え時の下取額が保証されていないため、時期によっては中古車市場の動向による価格変動の影響を受ける可能性があります。下取額が下がれば、その分だけ買い替え時に必要な資金も多くなるでしょう。
一方、残価設定ローンであれば、買い替え時に頭金と月々の支払いが発生するものの、現金購入と比べるとまとまった出費を抑えられます。
「現金購入と残価設定ローンを比較したシミュレーション」について詳しくは、下記をご覧ください。
車は何年で乗り換える?3年ごとに新車に買い換えて維持費を節約!
ライフスタイルの変化に合わせて車を乗り換えたい人
ライフスタイルに合わせて車を選びたい人にも、残価設定ローンが適しています。結婚や出産などで家族が増えると、車内空間が広い車に乗り換えたくなることもあるでしょう。また、転職や転勤に伴って車が不要になることもあるかもしれません。
残価設定ローンであれば、最終回のお支払いを迎えるごとに、乗り換えや返却などが選択できるため、ライフスタイルの変化にも対応しやすくなります。
銀行のマイカーローンに向いている人の特徴
車購入の選択肢には、銀行のマイカーローンの利用も挙げられます。ここでは、銀行のマイカーローンに向いている人の特徴をご紹介します。
車を自由にカスタムしたい人
車を自由にカスタムしたい場合は、銀行のマイカーローンが適しています。銀行のマイカーローンの場合、車の所有者は契約者自身となるため、カスタムが可能なパーツなどの範囲に制限がありません。マイカーローンを支払っている期間であっても、自由なカスタムが可能です。
長距離を走ることが多い人
銀行のマイカーローンは、長距離を走る頻度が高い人に向いています。銀行のマイカーローンで購入した車には、走行距離に制限はありません。通勤などで毎月の走行距離が長くなりそうな人や、長距離を運転する旅行などを楽しみたい人にとっては、走行距離が制限されることなく車を使用できる点は大きなメリットといえます。
残価設定ローンを利用する場合の注意点
残価設定ローンを利用するにあたって、いくつか注意しておきたい点があります。残価設定ローンを利用する際の注意点は、下記のとおりです。
繰上返済の可否や条件を確認する
残価設定ローンを利用する際は、繰上返済の可否や条件を確認しましょう。契約後に繰上返済ができないことがわかってしまった場合、返済計画が変わってしまいます。
繰上返済の可否や条件は販売店によって異なるため、想定している返済方法が可能かどうか、確認しなければなりません。
繰上返済の可否や条件は販売店によって異なるため、想定している返済方法が可能かどうか、確認しなければなりません。
車に乗り続けたい場合は残価分の費用を備えておく
残価設定ローンの契約終了後も同じ車に乗り続けたい場合には、残価分を支払う必要があります。残価分は一括返済のほか、分割払い(再クレジット払い)も可能です。いずれにしても残価分の支払いが発生することになるため、支払い計画を立てておかなくてはなりません。
トヨタの残価設定型クレジット(残価設定ローン)の特徴
トヨタでは新車の購入時に、残価設定型クレジット(残価設定ローン)を利用できます。ここでは、トヨタの残価設定型クレジット(残価設定ローン)の特徴を見ていきましょう。
契約手続きの利便性がいい
トヨタの残価設定型クレジット(残価設定ローン)は、契約手続きの利便性が高く、審査や手続きをスムーズに進めやすい点が特徴です。車の注文手続きと同時に、残価設定型クレジット(残価設定ローン)の審査や契約手続きが行えるため、手間がかかりません。
一部繰上返済でその後の支払額を軽減できる
トヨタの残価設定型クレジット(残価設定ローン)では、再分割契約を除く新規契約について一部繰上返済(金額変更)が可能です。ボーナスや臨時収入で余裕がある月には、契約時に設定した毎月のお支払額を上回る返済ができます。繰上返済をすることにより、その後のお支払額を軽減できる点が大きなメリットです。
ただし、繰上返済はあくまで返済額の変更のみとなり、契約期間の短縮はできない点に注意が必要です。
完済を待たずに乗り換えできる
トヨタの残価設定型クレジット(残価設定ローン)では、支払いを早期完済することで、新しい車への乗り換えが可能です。
また、残価設定型クレジット(残価設定ローン)の残債(未払いの自動車ローンの残額)と、下取り額が同額になる「クロスポイント」で買い替えを実施すれば、残債精算金を用意する必要がなくなります。
また、残価設定型クレジット(残価設定ローン)の残債(未払いの自動車ローンの残額)と、下取り額が同額になる「クロスポイント」で買い替えを実施すれば、残債精算金を用意する必要がなくなります。
「自動車ローン契約中の買い替え」について詳しくは、下記をご覧ください。
自動車をお得に買い替えられる「クロスポイント」とは?ローン契約中の買い替え時期を解説
残価設定ローンは返済額を抑えて車に乗りたい人におすすめの自動車ローン
写真はイメージです
残価設定ローンは、車両本体価格の一部(契約期間後の車の価値分)を最終回の支払い分として据え置き、最終回分を除いた総額を分割して支払うため、毎月の返済額を抑えて車に乗りたい人におすすめの自動車ローンです。
また、契約終了時には、残価を支払わずに新車に乗り換えることもできるため、数年ごとに新車に乗り換えたい人にとってもメリットのある自動車ローンといえます。
また、契約終了時には、残価を支払わずに新車に乗り換えることもできるため、数年ごとに新車に乗り換えたい人にとってもメリットのある自動車ローンといえます。
トヨタの残価設定型クレジット(残価設定ローン)は、契約時の利便性や一部繰上返済が可能な点が特徴です。できるだけ返済額を抑えて車に乗りたい人、定期的に新車に乗り換えたい人は、トヨタの残価設定型クレジット(残価設定ローン)を活用してみてはいかがでしょうか。
また、トヨタでは「通常の分割払い」、2回払いの「残額据置き払い」も利用が可能です。自分に合う自動車ローンを知りたい方は、「トヨタの自動車クレジット診断」をお試しください。
また、トヨタでは「通常の分割払い」、2回払いの「残額据置き払い」も利用が可能です。自分に合う自動車ローンを知りたい方は、「トヨタの自動車クレジット診断」をお試しください。
残価設定ローンに関するよくあるご質問
残価設定ローンのメリットとデメリットは?
残価設定ローンは、残価として設定する分を除いた総額を分割で支払うことになるため、毎月の返済額を抑えられます。また、契約期間が終了した際、販売店で新車に乗り換えれば据え置いた金額の支払いは発生しません。数年ごとに新車に乗り換えられる点は大きなメリットの1つです。また、設定した残価は保証されるため、経年によって車の価値が下がったり、中古車市場の動向に左右されたりしない点もメリットといえます。
一方で、残価設定ローンで購入した車は走行距離やカスタマイズの範囲に制限が設けられているケースが少なくありません。また、最終回の支払い時の車の状態によっては、追加費用が発生する可能性がある点にも注意が必要です。
残価設定ローンと銀行マイカーローンの違いとは?
残価設定ローンと銀行のマイカーローンでは、契約先や仕組みが異なります。残価設定ローンは車の購入と同時に販売店にて契約をします。一方、銀行のマイカーローンは、銀行や信用金庫等が提供している車の購入を目的としたローン商品です。
■監修者
ファイナンシャルプランナー
金子賢司
ファイナンシャルプランナー
金子賢司
東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)に10年間勤務する中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。
<保有資格>CFP
<保有資格>CFP